花語り。
作品が仕上がった今日、近畿でも何年振りかの春一番が吹きわたった。
三寒四温ののちに桜の季節も必ずやってくる。
わたしの子供の頃の記憶には桜はない。
春の訪れは梅の花の咲く春の川が、その一番だ。
それでもいつの間にか、満開の桜が私の春になっている。
親になって、入学式や新学期、その繰り返しが春の色を変えてくれた。
画中に点景に近く、二人のシルエットを配した絵を描くことも多い。
描く作品によって、親子になったり、恋人たちや夫婦になったりする。
最初にこの二人を登場させたときは、
少女の姿をした私と父だった。
「この二人は恋人同士ですか?」
「はい。」
「この二人は親子ですか?」
「はい。」
よく訊かれるけれども、私はいつも「はい。」と答える。
それが本当だから。
花語り。(取材地:京都・北嵯峨)